ガラスに外力をかけたとき、内部では応力が発生し、この応力にガラスが耐えられなくなると破壊に至ります。一方、原子?分子の运动によりガラス中の応力が缓和することで、ガラスがより破壊に强くなることが知られています。しかしガラス内部では一部の原子が近傍の隙间にジャンプ运动していることが分かっていますが、このジャンプ运动が具体的にどのように応力を缓和しているかは良く分かっておらず、ガラス分野の重要な未解决问题の一つでした。
瀬戸誠 复合原子力科学研究所教授、荒木武昭 理学研究科准教授、齋藤真器名 東北大学准教授、若林裕助 同教授、尾原幸治 島根大学教授、小野寺陽平 物質?材料研究機構主任研究員、依田芳卓 高輝度光科学研究センター主幹研究員らの研究グループは、ガラスのモデル系として知られるイオンガラス中の原子構造と運動を、放射光実験と計算機実験で精密に調べました。その結果、原子のジャンプ運動のほかに、ジャンプ運動によりできたわずかな隙間を埋めるように、周囲の数十個の原子集団がじわじわ移動する、新しいタイプの原子運動を発見しました。さらに、ナノ(10億分の1)秒からマイクロ(100万分の1)秒の間に原子がジャンプ運動と集団運動を繰り返すことでガラスに加えられた力が緩和し、ガラスが破壊から守られることが分かりました。今回の発見は、破壊に強いガラスの創製につながるなど、ガラス関連産業分野に広く波及効果があります。
本研究成果は、2024年12月2日に、国際学術誌「Acta Materialia」に掲載されました。

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Makina Saito, Takeaki Araki, Yohei Onodera, Koji Ohara, Makoto Seto, Yoshitaka Yoda, Yusuke Wakabayashi (2025). Discovery of collective nonjumping motions leading to Johari–Goldstein process of stress relaxation in model ionic glass. Acta Materialia, 284, 120536.