「犬には人を見る目がある」とよく言われますが、犬が人間の行動を観察し評価しているかは、まだ明らかではありません。以前にオーストリア?ウルフ?サイエンス?センター(Wolf Science Center)で行われた研究では、群れ飼育の犬やオオカミは人間についての評価を形成しないことが示されていました。
この度、ジム?ホイラム 人と社会の未来研究院特定研究員(研究当時:オーストリア?ウィーン獣医大学(University of Veterinary Medicine, Vienna)博士課程学生)らは、同獣医大学クレバー?ドッグ?ラボ(Clever Dog Lab)でペット犬40頭を対象に実験を行い、他の犬のやりとりを観察する(いわゆる「傍観的観察」)と自ら体験する「直接的経験」をもとに、気前のよい人(餌を与える)と利己的な人(与えない)を区別できるか検証しました。具体的には、誰に先に近づくか、親和的行動にどれだけの時間を費やしたかなどを分析しました。
その结果、年齢にかかわらず、犬は特に気前のよい人を选ぶ倾向はなく、どちらの人を选ぶかは偶然の范囲内でした。饲い犬にとって、人を评価するのは予想以上に难しい可能性があります。
本研究成果は、2025年6月28日に、国際学術誌「Animal Cognition」にオンライン掲載されました。

「今回の结果は、社会的评価が动物にとって难しい课题であることを示す研究に新たな知见を加えるものです。発达(年齢)が犬の社会的认知能力にどのように影响するかを明らかにするためには、野良犬、警察犬、介助犬など、异なる集団や経験を持つ犬を体系的に比较することが重要です。また、本研究は、现行の実験デザインには、犬の能力を十分に示すことを妨げる方法论的な限界がある可能性も示唆しています。人间と密接に协力する犬においても、人についての评価の形成はこれまで考えられていたよりも复雑であることが明らかになりました。」(ジム?ホイラム)
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【书誌情报】
Hoi-Lam Jim, Kadisha Belfiore, Eva B. Martinelli, Mayte Martínez, Friederike Range, Sarah Marshall-Pescini (2025). Do dogs form reputations of humans? No effect of age after indirect and direct experience in a food-giving situation. Animal Cognition, 28, 51.