高橋伸弥 理学研究科博士課程学生、久保佳希 同修士課程学生(研究当時)、小西一貴 同博士課程学生(研究当時)、中暢子 同教授らの研究グループは、Julien Barjon フランス?パリ?サクレ大学(Paris-Saclay University)教授、Riadh Issaoui フランス?ソルボンヌ?パリ?ノール大学(Sorbonne Paris North University)助教(研究当時)との共同研究により、ダイヤモンドの光吸収スペクトルをこれまでにない高い精度で取得し、アクセプタに束縛された励起子の微細構造におけるスピン軌道相互作用の効果を明らかにしました。
电子は自転のようなスピンのほかに、公転のような轨道の自由度を持ちます。半导体に光を照射することで生成される、电子と正孔の対である励起子は、これらの自由度が复雑に络み合った粒子系の相互作用を调べる格好の舞台です。しかし、実験的な难しさにより、ダイヤモンドの励起子に対するスピン轨道相互作用の効果については20年以上にわたって一致した理解が得られず、长く谜のままでした。
本研究グループは、ホウ素がアクセプタとして添加された青色ダイヤモンド中の束缚励起子の微细构造を光吸収によって観测することで、従来の発光测定におけるエネルギー分解能の限界を打破しました。理论计算との比较を行い、半导体中のアクセプタ束缚励起子におけるスピン轨道相互作用の大きさを决定することに初めて成功しました。この成果は、长年の论争に终止符を打つとともに、次世代材料として注目されるダイヤモンド、窒化物、二次元物质を含む半导体の基础物性の理解に大きく贡献します。
本研究成果は、2024年2月26日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。

【顿翱滨】
【书誌情报】
Shinya Takahashi, Yoshiki Kubo, Kazuki Konishi, Riadh Issaoui, Julien
Barjon, Nobuko Naka (2024). Spin-Orbit Effects on Exciton Complexes in
Diamond. Physical Review Letters, 132(9):096902.