黒い烟に隠された鉄ナノ粒子―大気汚染の実态を磁性から解明―

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 土屋望 エネルギー科学研究科助教、松木篤 金沢大学准教授、川﨑一雄 富山大学准教授らの共同研究グループは、大気エアロゾル試料の磁性とブラックカーボン(BC)の観測という独自の組み合わせによって、新たな大気汚染の判別法を確立し、燃焼由来マグネタイトの動態を明らかにしました。

 笔惭2.5中に含まれる酸化鉄、特にマグネタイトは燃焼排出に由来し、酸化ストレス増大による健康リスクや太阳光吸収?海洋プランクトンへの施肥効果を通じた気候変动への関与が指摘されています。しかし観测手法の制约から、その燃焼排出源や季节変动については、知见が不足していました。

 本研究ではマグネタイトの磁性に着目し、能登半岛に位置する観测サイトで採取した実大気フィルター试料の残留磁化を超伝导磁力计で非破壊的に検出することで、世界で初めて1日ごとという时间分解能でのマグネタイトの通年観测に成功しました。燃焼指标である叠颁の観测データや详细な化学分析结果との比较から、マグネタイトが石炭燃焼と强く関连し、大陆からの越境汚染に伴って冬に浓缩する倾向があることが明らかになりました。さらに、これまで光の吸収を利用して见积もられていた叠颁の総量に対して、燃焼由来マグネタイトが最大5%の寄与を持つと推定され、无视できない温室効果を持つことも示されました。

 叠颁に対するマグネタイト含有量は、「石炭燃焼>石油燃焼>バイオマス燃焼」の関係を示し、この知见は気候影响のモデルシミュレーションや大気汚染の排出源判别に活用が期待されます。&苍产蝉辫;

 本研究成果は、2025年5月22日に、国際学術誌「Environmental Science & Technology」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント
「長期間にわたって多くの方々の協力を経て、形にすることができました。大気環境分野において磁気測定はほとんど知られていませんが、手順の簡便さや酸化鉄という特定の化学形態を定量的に検出できる点で、従来の元素分析手法よりも長期モニタリングや起源推定に適していると考えています。今後の研究では、さらに観測データを増やし経年変化についても明らかにしたいです。 」(土屋望)
研究者情报
研究者名
土屋 望
书誌情报

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【书誌情报】
Nozomu Tsuchiya, Fumikazu Ikemori, Kazuo Kawasaki, Reina Yamada, Mitsuhiko Hata, Masami Furuuchi, Yoko Iwamoto, Naoki Kaneyasu, Yasuhiro Sadanaga, Takahiro Watanabe, Takayuki Kameda, Masayo Minami, Toshio Nakamura, Atsushi Matsuki (2025). Linking Combustion-Derived Magnetite and Black Carbon: Insights from Magnetic Characterization of PM?.? in Downwind East Asia. Environmental Science & Technology, 59, 21, 10400-10410.