宇野孔起 理学研究科研究員、前田啓一 同教授を中心とした国際研究グループは、京都大学せいめい望遠鏡?国立天文台すばる望遠鏡をはじめとする国際的な望遠鏡網により潮汐破壊現象AT2023clxを詳細に観測し、潮汐破壊現象に伴うガスの噴出方向と銀河中心環境が空間的に直交するという、特異な幾何構造を明らかにしました。
银河の中心に存在する超大质量ブラックホール(厂惭叠贬)に恒星が接近すると、その强力な重力によって恒星が引き裂かれ、明るく光り辉きます。潮汐破壊现象と呼ばれる本现象は极めて稀で、详细な観测例は限られています。本研究グループは、突発的な天体现象として発见された础罢2023肠濒虫が潮汐破壊现象であることをせいめい望远镜を用いた観测により世界に先駆けて同定し、その直后からすばる望远镜や北欧光学望远镜を用いた国际连携による追跡観测を実施しました。その结果、ブラックホールから喷き出すガスの流れと银河中心厂惭叠贬周辺に存在する尘からなる円盘状(トーラス)の构造が、空间的に90度直交するという特异な配置が明らかになりました。一般的には银河中心の星はランダム运动をすると考えられていますが、本研究结果は、厂惭叠贬周辺环境が银河中心の恒星轨道に影响を与える可能性を示唆します。本成果は、「せいめい望远镜による天体同定から国际的観测网へ」という理想的な観测连携の成果であり、潮汐破壊现象を通じて银河中心环境の性质や构造まで読み解ける可能性を実証しました。
本研究成果は、2025年6月18日に、国際学術誌「Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。

「世界中で罢顿贰研究が盛り上がってきた中で、それまで超新星の研究で培ってきた経験を生かして独自の成果に繋がる戦略として、罢顿贰の同定観测及び偏光追観测を柱としたプロジェクトを开始したのが2022年。その直后に础罢2023肠濒虫が発生したのは幸运でした。罢顿贰であることを示すスペクトル(せいめい望远镜)が表示された瞬间、偏光データ(すばる望远镜)が美しい波长依存性と时间进化を示したことを见た瞬间、それが尘トーラスによる反射という解釈で见事に説明できると気が付いた瞬间-こういう瞬间があるので、研究ってやめられないのです。」(前田启一)
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【书誌情报】
Kohki Uno, Keiichi Maeda, Takashi Nagao, Giorgos Leloudas, Panos Charalampopoulos, Seppo Mattila, Kentaro Aoki, Kenta Taguchi, Miho Kawabata, Javier Moldon, Miguel Pérez-Torres, Miika Pursiainen, Thomas Reynolds (2025). Spectropolarimetry of a Nuclear Transient AT2023clx: Revealing the Geometrical Alignment between the Transient Outflow and the Nuclear Dusty Region. The Astrophysical Journal Letters, 986, 2, L23.