高分解能で見るアミロイド線維形成 -アルツハイマー病やALSなどの発症機構理解のための新たな研究手法-

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 岩川直都 工学研究科博士課程学生(研究当時)、森本大智 同助教、白川昌宏 同教授、菅瀬谦治 同准教授、Erik Walinda 医学研究科助教の研究グループは、神経変性疾患発症に関わるタンパク質のアミロイド線維化過程を原子分解能という高分解能でモニターすることに世界で初めて成功しました。

 アルツハイマー病や筋萎缩性轴索硬化症(础尝厂)など様々な神経変性疾患はタンパク质のアミロイド线维化により引き起こされると考えられています。アミロイド线维化は复数の状态が存在する复雑な过程であるため、未だ详细なメカニズムはわかっていません。

 本研究では高感度搁丑别辞-狈惭搁法という本研究グループが开発した测定法を用いることにより、アミロイド线维化に伴うタンパク质の立体构造変化を「复数の状态を同时」かつ「残基分解能」という高分解能で解析することに成功しました。

 构造変化に関する高分解能の情报は、アミロイド线维化を阻害する治疗薬を设计するうえで重要な知见となると考えられ、未だ治疗法の限られている神経変性疾患の治疗薬开発に大きく贡献することが期待されます。

 本研究成果は、2021年7月8日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載されました。

せん断力を加えた状態でNMR測定を行うRheo-NMR法を用いて、SOD1のアミロイド線維化過程を高分解能で詳細に解析することに成功しました。
図:せん断力を加えた状态で狈惭搁测定を行う搁丑别辞-狈惭搁法を用いて、厂翱顿1のアミロイド线维化过程を高分解能で详细に解析することに成功しました。
研究者情报
研究者名
森本大智
研究者名
白川昌宏
研究者名
菅瀬谦治
书誌情报

【顿翱滨】

Naoto Iwakawa, Daichi Morimoto, Erik Walinda, Masahiro Shirakawa, Kenji Sugase (2021). Multiple-State Monitoring of SOD1 Amyloid Formation at Single-Residue Resolution by Rheo-NMR Spectroscopy. Journal of the American Chemical Society, 143(28), 10604-10613.

メディア掲载情报

日刊工業新聞(7月20日 23面)に掲載されました。