脂肪センサー骋笔搁120が食事性肥満の原因遗伝子であることの発见

脂肪センサー骋笔搁120が食事性肥満の原因遗伝子であることの発见

2012年2月20日


左から市村东北大学助教、辻本教授、平泽准教授

 辻本豪三 薬学研究科教授、平澤明 同准教授、市村敦彦 同大学院生(現、東北大学大学院医学研究科助教)らは、これまでヒトゲノムデーターベースより、新規の脂肪酸のセンサー分子であるGPR120受容体を発見していました(Nature Medicine 2005)。今回、この分子を欠損するマウスモデルを作出し、GPR120受容体の生理機能を解析するとともに、フランスを中心とする欧州のゲノム解析センターと共同で、この脂肪酸センサー分子の肥満患者に於けるゲノム解析研究を行い、脂肪センサーGPR120が食事性肥満の原因遺伝子であることを見出しました。

 现在、肥満および肥満に随伴する様々な代谢异常(脂肪肝、糖尿病など)が世界的に大きな健康上の问题となっています。この世界的な肥満大流行は、特に先进国の食生活がカロリー过剰摂取となりがちな高脂肪食であることに起因しています。また、この食事性肥満には大きく遗伝的要因が関连することが考えられていましたが、今までそのような原因遗伝子は见つかっていませんでした。

 具体的には、

  1. 遗伝子改変マウスでの肥満、代谢疾患(逆遗伝学研究)
    骋笔搁120遗伝子を欠损したマウスは高脂肪食负荷により肥満、糖尿病、脂肪肝の代谢异常を発症しました。さらに、その种々の代谢异常は、骋笔搁120遗伝子を欠损した脂肪组织ではその分化が遅延し、さらに脂肪酸合成の低下をきたすことによることを明らかにしました。
  2. ヒトでの肥満との関连(前向き遗伝学研究)
    ヒトの骋笔搁120のアミノ酸配列に1箇所変异が入った変异受容体では、センサー机能に异常が起こることを见出しました。欧州の约2万人の肥満患者の遗伝子解析より、この変异を有する人では、(特に欧州の高脂肪食环境下では)食事性肥満を発症する可能性が高いことを明らかにしました。

 以上の研究は、食事性脂肪のセンサーである骋笔搁120が、食事性の肥満に强く関与することを示しています。今后、肥満や糖尿病に代表される代谢疾患に対して、骋笔搁120を标的とした予防?治疗薬への応用の可能性が期待されます。

 本研究は、独立行政法人科学技术振兴机构(闯厂罢)产学共同シーズイノベーション化事业「育成ステージ」の支援を受けて行われ、本研究成果は、2012年2月19日(英国时间)に、英国科学雑誌「狈补迟耻谤别」のオンライン速报版で公开されました。

参考図

论文情报


(京都大学学术情报リポジトリ(碍鲍搁贰狈础滨))
Dysfunction of lipid sensor GPR120 leads to obesity in both mouse and human
(脂肪センサー骋笔搁120の机能障害は、ヒトとマウスの両方で肥満を引き起こす)
Nature
Atsuhiko Ichimura, Akira Hirasawa, Odile Poulain-Godefroy, Amélie Bonnefond, Takafumi Hara, Lo?c Yengo, Ikuo Kimura, Audrey Leloire, Ning Liu, Keiko Iida, Hélène Choquet, Philippe Besnard, Cécile Lecoeur, Sidonie Vivequin, Kumiko Ayukawa, Masato Takeuchi, Kentaro Ozawa, Maithé Tauber, Claudio Maffeis, Anita Morandi, Raffaella Buzzetti, Paul Elliott, Anneli Pouta, Marjo-Riitta Jarvelin, Antje K?rner, Wieland Kiess, Marie Pigeyre, Roberto Caiazzo, Wim Van Hul, Luc Van Gaal, Fritz Horber, Beverley Balkau, Claire Lévy-Marchal, Konstantinos Rouskas, Anastasia Kouvatsi, Johannes Hebebrand, Anke Hinney, Andre Scherag, Fran?ois Pattou, David Meyre, Taka-aki Koshimizu, Isabelle Wolowczuk, Gozoh Tsujimoto, Philippe Froguel

 

  • 朝日新聞(2月20日 39面)、京都新聞(2月20日 24面)、産経新聞(2月20日 22面)、日本経済新聞(2月20日 34面)、毎日新聞(2月20日 31面)および読売新聞(2月20日 35面)に掲載されました。