相手の状况に合わせたチンパンジーの手助け行动

相手の状况に合わせたチンパンジーの手助け行动

2012年2月7日

 山本真也 霊長類研究所特定助教らの研究グループの研究成果が、米科学アカデミー紀要電子版に掲載されました。

研究の概要

 チンパンジーは相手が何を必要としているかを理解し、それにあわせて利他行动を柔软に変化させるのだろうか。本研究では、利他行动の文脉におけるチンパンジーの他者理解についてより详细に検讨した。

 隣接する二つのブースのうち、片方には道具使用场面(ステッキ使用场面あるいはストロー使用场面)を设定し、もう片方にはステッキ?ストローを含む七つの道具を与えた。ブース间パネルが透明な条件(「见える」条件)と不透明な条件(「见えない」条件)を48试行ずつ交互におこなったところ、どちらの条件でも道具使用场面の个体が穴から手を伸ばして道具を要求する行动がみられた。しかし、渡し手の道具选択には2条件间に违いがみられ、「见える」条件では相手の状况にあわせて渡す道具の割合を有意に変化させていたのに対し、「见えない」条件ではそのような适切な道具选択ができなかった。5个体中1个体は「见えない」条件でも适切な道具を选択できていたが、この个体は道具を渡す前に穴から相手ブースを覗き见したあとに道具を选択して渡していた。

 これらの结果から、チンパンジーが相手の置かれている状况を见て相手の欲求を理解し、それに応じて利他行动を柔软に変化させていることが示された。同时に、相手の状况を理解していても、自発的には手助けしないことも示唆される。チンパンジーの利他行动の生起には状况の理解と要求の理解が别々かつ相补的に働いている可能性が考えられる。

関连リンク

  • 论文は以下に掲载されております。

    (京都大学学术情报リポジトリ(碍鲍搁贰狈础滨))
  • 以下は论文の书誌情报です。
    Yamamoto S, Humle T, Tanaka M.
    Chimpanzees' flexible targeted helping based on an understanding of conspecifics' goals.
    Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 6. PMID: 22315399.

 

  • 朝日新聞(2月7日 33面)、京都新聞(2月7日 26面)、産経新聞(2月24日 26面)、中日新聞(2月7日 1面)、日本経済新聞(2月7日 34面)、毎日新聞(2月7日 24面)および読売新聞(2月7日 34面)に掲載されました。