第25代総長 松本 紘
本日は、誠に忙しい日々のなか、日本を支えておられる各界でご活躍の皆さま、すなわち政界の方々、実業界の方々、官公庁、学術機関、大学など各方面の方々を多数お招きし、ここに「京都大学 東京フォーラム」が開催できますことを、心より御礼申し上げます。
京都大学は、创立以来114年间、自由の学风のもと阔达な対话を重视し、「都」として长い歴史と伝统を持つ京都の地において、自主自立の精神を涵养し、高い伦理性を备えた独创的な研究活动や、卓越した知の継承と创造的精神の涵养に努めてまいりました。
本学の自由とは、己の内外にある既成概念にとらわれることなく、発想を巡らし、己を大切にして、个人が自ら光るという概念です。また、个人が既成概念や既存のシステムに缚られることなく、自由な発想に基づいて行动しつつも、常に社会や周辺の人々を思いやり、责任ある态度を贯く。さらに、自由な选択を一度した后には、选択したものに自ら责任を持ち、やり遂げるまで顽张りぬく。これをすべて备えた自由こそ本学の自由です。
また、世界に開かれた大学として、地域をはじめとする国内、国際社会との連携を強め、広报活动や産官学連携、共同研究等を通じて、京都大学の現状や先端研究や高等教育のあり方を社会に発信してきました。
今回、政治?経済?人材?资源、そして投资が集中する东京において、第6回目となる东京フォーラムを开催し、京都大学の多彩な研究活动の一端をご绍介できることは大変意义深いものと考えています。
京都大学の东京での取り组みとしては、一昨年の9月に、首都圏における情报収集?発信の拠点として、品川に「京都大学东京オフィス」を开所いたしました。ここから、京都大学で受け継がれる学术の一端を「东京で学ぶ京大の知」と题して、连続讲义シリーズで绍介しています。これまで王朝文学、生物多様性、防灾などのテーマをとりあげ、大変好评をいただいております。
また、本学の附置研究所と研究センターが一体となり、毎月第1金曜日に一般対象の「品川セミナー」を开催しています。最先端を走る研究者がやさしく语る学问の世界を伝えています。
このように东京オフィスは京都大学の学术の発信の场として、そして产官学连携や共同研究を通じて新たなイノベーションを生み出す场として、皆様方のご期待に応えるよう様々な活动を行っているところです。
さて、本日のフォーラムのテーマは「京都の知~文明の危机と京都学派~」です。3月11日に东日本を袭った大地震、大津波、さらに引き続いて起こった福岛第一原発事故により、我々はかつて経験したことのない甚大な被害を受けました。本フォーラムもその直后の3月15日に开催する予定でありましたが、延期となり、本日ここに无事开催することができ、テーマに「文明の危机」を织り込むことといたしました。
かつて本学の研究者が、学术の世界で独自の光彩を放つ巨星を中心にスバル星団のように辉き、それを社会が京都学派としてとらえていたことは、京都大学の歴史を鲜やかに彩るものであろうかと思います。现代の研究者は、高速交通手段の発达と、インターネット等による情报伝达の高速化を通じて、距离の隔てなく知の交流が可能になりました。その结果、一见すると学术における地域性がなくなってしまったと感じられるかもしれません。しかし、风土が歴史を彩るように、人の考え方の地域性、関西と関东の违い、京都が大切にしてきた独自の伝统というものは今でも现に残っています。「京都発の叡智」が今の「文明の危机の时代」に、日本という国、また世界に、どのような影响を与えることができるのか。大変短い时间ではありますが、基调讲演を素材に皆様方と一绪に考えることができればと期待しているところであります。
また、フォーラム终了后には、皆様方との自由な意见交换の场として恳谈会を设けております。本学の役员および研究科长、研究所长をはじめとする部局长が、本日お集まりいただきました皆様と恳谈することを楽しみに参加いたします。お时间が许す限りご参加いただき、ぜひ、普段はなかなか闻いていただく机会のない、现场を预かる研究者の生の声をお闻きください。
最后になりますが、京都大学は様々な学术的伝统を受け継ぐ研究者の渊丛です。本日は、佐伯启思先生、中西寛先生にお话いただきますが、今后も、様々な世界観を持つ个性豊かな研究者の意见や研究成果を顺次発信してまいります。
本日お越しいただきました皆様方におかれましては、これからも建学以来、本学に课された社会的使命を十全に果たせるよう、一层のご理解とご协力を赐ることをお愿いしまして、フォーラム开催にあたっての私の挨拶とさせていただきます。
