第25代総長 松本 紘
本日はようこそ第12回京都大学国际シンポジウムにお集まりくださいましてありがとうございます。海外や国内のさまざまな地域から、幅広い年齢层にわたってご来聴くださっていると伺い、大変有り难く存じます。
京都大学では、世界に开かれた大学として先端的な学术研究を积极的に展开していくため、本学が夸る独创的な学术研究を対象とする国际シンポジウムを世界各地で开催しています。碍鲍滨厂と呼んでおりますこのシンポジウムも今年で9年目となります。京都大学は、多元的な课题の解决に挑戦し、地球社会の调和ある共存に贡献することを基本理念としております。今回のシンポジウムのテーマ「変化する人种イメージー表象から考える」は、この基本理念の追求にきわめてふわさしいテーマだと思います。
近代以降现代に続くまでの歴史を振り返れば、人种は地球社会における戦争や纷争の一つの基轴となってきました。人种间対立はきわめて根深い问题でありながら、日本社会においては、人种问题といえばアパルトヘイトやアメリカの黒人差别といった理解が一般的で、まるで日本やアジアとは无関係であるかのような、いわば対岸の火事のように见なされてきました。また人种といえば科学の问题ではなく、社会の问题であるかのよう思われがちですが、ナチズムにせよアメリカの奴隷制にせよ、いかに科学と社会が结びつき究极的な人种主义を生み出してきたかは歴史が示すとおりです。今回は、本学に縁が深く、且つ世界的に着名な先生方をもお招きしての开催であり、日本?アジアの研究者と海外の研究者が、それも文系理系を融合させて、一堂に会して考えるといったこのようなシンポジウムは、まことに异议深いものであると思います。
今回のシンポジウムの企画の中心であった京都大学人文科学研究所は、今日、全国さまざまな大学などの研究机関で行われています文系の共同研究のひな形を作ったところであります。人文科学研究所の伝统にそって、今、人种という今日的な课题に学术的に正面から向かい合うことは、地球社会の调和ある共存に大学として资すると考えます。
京都大学は、多様性の共存を実践面でも进めています。多少手前味噌になることをお许しいただけますなら、京都大学は、民族学校出身者の受験资格を全国の国立大学に先駆けて认め、2004年3月、実际に初めての合格者を出しました。また女性教员の比率の低さが长年の课题でしたが、2006年には「京都大学女性研究者支援センター」を设立し、その后国立大学では全国初の取り组みとして、病児保育を大学内に开设しました。多様な人材がそれぞれの持ち味を生かしながら活跃するのは、本人はもとより社会全体の新しい発展につながります。
今回で12回目となる京都大学国际シンポジウムでも、女性が企画?実行グループの中心となったのは初めてだと闻いております。多様な文化的歴史的背景をもつ人々の共存に向けて、さらに既成の学説を超えて、また文系理系という学问の壁も越えて、自由で独创的な议论が生み出され、シンポジウムが大きな成功を収められることを祈念致します。
